前回は株主総会の「招集の決定」について、会社法上要求される手続きをお伝
えしました。
「招集の決定」から、今回お伝えする「招集手続き」に至るまで、これらを適
正に行わないと、株主総会決議取消の訴えの対象となりますので、法務手続を
担当される方は、漏れやミスのないように手続きを遂行する必要があります。
特に少数株主のいる会社においては、手続きの瑕疵が後の訴訟リスクにつなが
りますので、十分に気をつける必要があります。
◇株主の招集方法◇
一般的に株主総会の招集は、書面による通知という方法でするイメージがある
ように思われます。
取締役会設置会社では原則書面による通知の必要があるのですが、取締役会非
設置会社では原則その必要はありません。
つまり、取締役会非設置会社においては原則、どういう方法で招集内容を通知
してもいいことになります。電話や口頭で伝えるだけでもよいのです。
しかしながら電話や口頭で済ましてしまうと、通知したことが証拠として残り
にくいですね。トラブル予防の観点からはやはり、書面又は電子メールで通知
をし、通知した記録を残しておいた方がよいでしょう。
◇招集通知の内容◇
取締役会設置会社の招集通知には最低限、
1.総会の日時
2.総会開催場所
3.総会の目的事項
以上の3項目がなければならないとされています。「総会の目的事項」とは、
株主総会における「報告事項」又は「決議事項(議案)」のことです。
これら以外には「株主総会参考書類の内容の一部」や重要な決議事項について
の「議案の概要」も内容となることがあります。
またその他の通知すべき事項が生じることもありますが、文字数の関係上ここ
では割愛します(会社法298条、299条、同法施行規則63条以下を参照
のこと)。
以上に対し、取締役会非設置会社で書面による通知を要しない場合は、特に通
知内容が法定されていません。よって株主に対して総会の日時と総会開催場所
のみを知らせればよいこととなっています。
◇招集通知の付属書類◇
株式総会に株主が出席せず、書面によって決議が出来る方法(いわゆる「書面
決議」)を採用する会社においては、招集通知とともに株主総会参考書類及び
議決権行使書面を提供する必要があります。
また、取締役会設置会社の定時株主総会の場面では、招集通知に計算書類、事
業報告、監査報告、会計監査報告などを提供する必要があります。
これらは概念上招集通知とは別個のものですが、招集通知書面の一部分(付属
書類)として株主に通知されるのが通常です。
◇招集通知の期間◇
招集通知は、譲渡制限会社(定款・登記簿に「当会社の株式を譲渡するには…
の承認を要する」という規定がある会社)では、総会開催日の一週間前までに
発送をすればよいこととなっています。
株式譲渡制限のない会社では、総会開催日の二週間前までに発送をすればよい
ことになっています。
通知の「到着」した時点が起点ではなく「発送」した時点が起点となっている
点が期間計算のポイントです。
◇招集手続きの省略◇
以上のとおりの招集手続を踏んだ上で、株主総会は開催されることとなります
。
しかしながら、以下の要件を満たす会社では、そもそも招集手続きなしで株主
総会を開催することが可能です。
1.株主が1000人に満たない。
2.書面決議・オンラインによる決議の方法を採用していない。
3.招集手続きを省略することにつき、株主全員の同意を得られている。
以上の要件を満たせば招集手続き省略可能となります。この場合、くれぐれも
株主の同意の意思表示は書面等によって残しておくようにしましょう。
次回は株主総会当日運営についてお伝えします。
司法書士事務所トリニティオフィス
代表司法書士 磨和寛
